2025年、企業の財務資産として暗号資産を保有する「デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)」という動きが、市場の大きなトレンドとなっています。この潮流の中で、どの暗号資産が最も有望なのでしょうか?
英国の大手銀行であるスタンダードチャータードは、最新のレポートで「イーサリアム(ETH)が、ビットコイン(BTC)やソラナ(SOL)をアウトパフォームする可能性が高い」との見解を示しました。機関投資家や企業の動向を踏まえたこの分析は、個人投資家にとっても重要な示唆を与えてくれます。
本記事では、なぜプロの分析がイーサリアムを「勝ち組」と予測するのか、その理由を分かりやすく解説し、このチャンスをどう活かすべきかを探ります。
企業が暗号資産を保有する「DAT」の現状と課題
まず、DATとは企業がバランスシート上で暗号資産を保有する戦略を指します。今年前半、この動きは暗号資産価格を史上最高値へと押し上げる一因となりました。
しかし、最近では市場の変動により、多くのDAT関連企業の評価額が、その保有資産の価値(NAV)を下回る状況にあります。これにより、新たな資金調達や暗号資産の追加購入が難しくなり、セクター全体が整理・淘汰の局面に入りつつあるとスタンダードチャータードは分析しています。
なぜイーサリアムが優位なのか?3つの成功要因
スタンダードチャータードのアナリスト、ジェフリー・ケンドリック氏は、この淘汰の局面で成功するDATの条件として、以下の3点を挙げています。
- 低コストでの資金調達能力
- 流動性を引き寄せる規模
- ステーキング利回りの創出
特に重要なのが3つ目の「ステーキング利回り」です。ステーキングとは、対象の暗号資産を保有しネットワークに貢献することで、報酬として利息のような収益を得られる仕組みです。
この点で、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)という仕組みを採用しているイーサリアムとソラナは、ビットコインに対して明確な優位性を持っています。保有しているだけで資産が増える可能性があるため、企業にとって魅力的な投資対象となるのです。
ビットコインとソラナの現在地
ビットコインの課題:市場の飽和と統合圧力
ビットコインは、多くの企業が資産として保有しており、その地位は確立されています。しかし、スタンダードチャータードは、ビットコインに特化したDAT市場は飽和状態にあり、今後は大手による小規模なDATの買収といった「統合」が進むと予測しています。これは、セクター内での資産の移動に過ぎず、ビットコインへの新たな需要を喚起するものではないと指摘されています。
ソラナの状況:まだ発展途上
ソラナは、その高速な処理能力と低い手数料で注目を集めるブロックチェーンです。しかし、企業の財務資産としての採用(ソラナ・トレジャリー)はまだ規模が小さく、発展途上の段階にあると見られています。
イーサリアムが持つ「持続可能性」という強み
一方で、イーサリアムのトレジャリーは拡大を続けています。レポートによると、企業が保有するイーサリアムは、6月以降だけで流通量の約3.1%に達しており、その勢いは衰えていません。
スタンダードチャータードがイーサリアムを最も持続可能性が高いと評価する理由は、以下の通りです。
- ステーキングによる安定収益: 保有するだけで利回りが得られるため、財務戦略として非常に安定している。
- 確立されたエコシステム: 長い歴史と多くの利用実績があり、信頼性が高い。
- 積極的な買い集め: 大手企業による継続的な購入が続いている。
同行は以前からイーサリアムに対して強気な見方を示しており、機関投資家の資金流入やETFの動向も踏まえ、長期的な価格上昇を予測しています。
個人投資家は、この流れをどう活かすべきか?
「企業の動向は分かったけれど、自分には関係ないのでは?」と感じるかもしれません。しかし、機関投資家や企業が注目する資産は、将来的に価値が高まる可能性を秘めています。特に、イーサリアムの「ステーキング」という仕組みは、個人投資家も活用できる大きなメリットです。
暗号資産をただ保有するだけでなく、ステーキングによって資産を増やしていく。この戦略は、長期的な資産形成において非常に有効な選択肢となり得ます。
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