2025年8月、暗号資産市場は新たな局面を迎えました。主役は、ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアム（ETH）です。8月27日、イーサリアム現物ETF（上場投資信託）は、1日で3億720万ドル（約451億円）もの純流入を記録し、市場に衝撃を与えました。これは、長らく暗号資産市場を牽引してきたビットコインETFの同日の流入額を大きく上回るものであり、機関投資家の関心がイーサリアムへとシフトしている可能性を示唆しています。
この流れは一時的なものではありません。イーサリアムETFはここ数日、ビットコインETFを上回る資金流入が続いており、累計の純流入額は2兆円を突破しています。特に、世界最大の資産運用会社ブラックロックが提供するiShares Ethereum Trust（ETHA）が流入を牽引しており、機関投資家の強い需要を裏付けています。
なぜ今、イーサリアムに注目が集まるのか？
この地殻変動の背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 機関投資家の本格参入: これまで暗号資産投資といえばビットコインが中心でしたが、イーサリアムETFの登場により、機関投資家がポートフォリオを多様化させ、イーサリアムへのエクスポージャーを増やし始めています。実際に、投資顧問会社がイーサリアムETFの主要な保有者として台頭してきており、その保有額は他の投資主体を圧倒しています。
- イーサリアムの技術的優位性: イーサリアムは、単なる価値の保存手段に留まらず、スマートコントラクトという革新的な技術基盤を持っています。これにより、DeFi（分散型金融）やNFT（非代替性トークン）といった新たなユースケースが次々と生まれており、その将来性が高く評価されています。市場はイーサリアムを、活発な金融インフラとしての二重の役割を持つ資産として認識し始めているのです。
- 割安感と将来性への期待: 2025年初頭には調整局面にあったイーサリアムですが、現在の価格を割安と捉え、長期的な成長を見込む投資家が増えています。ある大手銀行は、2025年末のイーサリアム価格が7,500ドルに達するとの強気な予測を維持しており、市場の期待感は高まる一方です。
ビットコインETFの現状と今後の展望
一方で、ビットコインETFも決して勢いが衰えたわけではありません。累計の純流入額では依然としてイーサリアムを大きく引き離しており、市場の基軸通貨としての地位は揺るぎないものです。しかし、今回のイーサリアムETFへの記録的な資金流入は、投資家がビットコインだけでなく、他の有望な暗号資産へと目を向け始めた明確なシグナルと言えるでしょう。
この市場の変化は、私たち個人投資家にとっても大きなチャンスを意味します。これまでビットコイン一辺倒だった方も、ポートフォリオにイーサリアムを加えることで、リスク分散と新たな収益機会の獲得が期待できます。
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